ハードディスクの増設トラブル解決方法
(2002/11/15(金)配信 No.0014
2002/09/27(金)配信 DNN-Expert No.0011
2002/10/11(金)配信 DNN-Expert No.0012
2002/10/25(金)配信 No.0013 DNN-Expert より転載
近年、ハードディスクの大容量化は、著しいものがあります。現在では、200GB超のハードディスクも珍しくはありません。こうした状況の下、コンピュータに元々装備されていたハードディスクの他に増設をする際には、必ず、ハードディスクの容量の壁というものに注意をする必要があります。実際、大容量のハードディスクを購入し、説明書通りに増設し、設定をしているにも拘わらず、容量の壁によって、最大限の性能を発揮できないといった事例を良く耳にします。
そこで、ハードディスクの増設にまつわるトラブルに関して、事例を挙げながら、注意点と回避方法をご紹介しましょう。
(1)ハードディスクの容量の壁
ハードディスク容量には、下記のような壁があります。
2.1GB、4.2GB、8.4GB、32GB、64GB、128GB、2TB(テラバイト)など
※ 2TB=2048GB
2.1GBの壁:FAT16フォーマットで使用できる上限
4.2GBの壁:WindowsNTのNTFSフォーマットで使用できる上限
8.4GBの壁:ディスクBIOSが提供する上位プログラムへのインターフェイス(Int13H)で、
CHSパラメータを使っていたことによる上限
32GBの壁:ディスクBIOSの上限
64GBの壁:Windows98SE以前のFDISKでは、認識できないために起こる上限
128GBの壁:28Bit LBAまたは拡張Int13の上限
2TBの壁:FAT32フォーマットで使用できる上限
それぞれの壁により、解決方法は異なります。また、上記以外にも528MB以下の環境においても壁が存在します。
top
大容量ハードディスクの増設にともない、正常な容量を認識できない場合の多くの原因は、
(1)ハードディスクの容量の壁が原因である場合
(2)FDISKプログラムの不具合である場合
の2例が考えられます。
(1)ハードディスクの容量の壁が原因である場合
使用されているコンピュータのBIOSのアップグレードが可能であるかどうかをメーカーのホームページやカスタマサポートなどに問い合わせ、確認します。
旧型のコンピュータの場合には、BIOSの更新がされていない場合もあります。BIOSはシステムの根幹であるため、操作ミスや不意の停電などでアップデートに失敗した場合、システムが再起不能になる危険性もあります。BIOSアップデートは慎重に行いましょう。
BIOSのアップグレードが不可能な場合は、次項にてご紹介する拡張ボードを使用してハードディスクを増設をご参照下さい。
(2)FDISKプログラムの不具合である場合
現在のWindows 95/98/98SE のFDISKコマンドでは、「Fdiskは64GBを超えるハードディスクのフルサイズを認識しない」という問題を抱えています。
具体的には、物理ドライブサイズが80GBのハードディスクを増設した場合、64GBを引いた16GBと認識してしまう現象が発生します。
この問題に対しては、回避方法と修復方法が、下記のWebサイトに記載されておりますので、こちらをご参照下さい。
top
拡張ボードのUltra ATAボードを使って問題解決!
「Ultra
ATA」と聞いて、すぐさま「IDEインターフェイスの転送速度と信頼性を高めるIDEの拡張仕様」と答えられる方は少ないかも知れません。
簡単にいうと、内蔵のハードディスクを利用するときに転送速度と信頼性を向上させたボードのことを「Ultra ATAボード」と呼んでいます。
現在では、ハードディスクの大容量化に伴い、Ultra
ATA/33、Ultra ATA/66Ultra ATA/100、そして、Ultra
ATA/133という仕様があります。数値が大きければ、実際の転送速度も速いということになります。
現在、主流なのは、Ultra
ATA/100仕様のボードです。 このボードをハードディスクと共に購入し、PCIバスへ接続することで、BIOSのアップグレードをすること無しに、簡単に大容量ハードディスクへと移行または、増設することができます。
但し、ここに思わぬ落とし穴があります。それは、このUltra
ATAボード、SCSIボードとの相性問題が発生することがあります。つまり、Ultra
ATAボードとSCSIボードを利用したコンピュータでは、起動障害などのトラブルが生じる可能性があるのです。
しかし、相性問題は現在では、あまりシビアに考えなくても良い程度になってきていますが…
実際に接続してみないと解らないということもあり、なかなか判断が難しいところです。かく言う、筆者もこの問題で、かなり頭を悩ませた1人…
もし、Ultra
ATAボードとSCSIボードを併用する環境で、起動障害などが発生するようでしたら、SCSIボードをはずしてみてください。障害を回避することができるかも知れません。また、ボードを差し込むソケットの位置を変更してみると意外に解決できたりもします。
top
ハードディスクの接続方法(ケーブルの接続方法)
IDEケーブルの取り扱いと注意点
IDEケーブルは、フラットタイプのものとスリムタイプのものとあります。フラットタイプのものは、昆布のような平べったく大根を桂剥きにしたような形状をしています。それに対し、スリムタイプは、ケーブルそのものが縄のようにより合わせられたもので、端子部分以外は、直径1cmほどのケーブルとなります。
ここでハードディスクの増設の際に注意しなければならないのが、ATAボードの仕様に合わせたケーブルを選択しなければならないことです。通常は、ハードディスクを新規に購入すると、IDEケーブルが付属しているものが多いですが、付属していない場合や、別途購入する際には、IDEケーブルの種類に注意しましょう。IDEケーブルには、現在のところ、下記の種類のボードに応じたケーブルがあります。
Ultra ATA/33、Ultra
ATA/66、Ultra ATA/100、Ultra ATA/133
それぞれのボードにあわせて、また、ハードディスクに合わせて、ケーブルも選択することで、ハードディスクの最大限の性能を引き出すことができます。しかし、選択を誤ると、最悪、ハードディスクを認識しない、データの転送速度が以上に遅いなどの障害が発生する可能性があります。
また、ハードディスクを増設する際には、「プライマリ・マスター」「プライマリ・スレーブ」「セカンダリ・マスター」「セカンダリ・スレーブ」の計4つの接続方法があります。これ以外にも、「ジャンパーピン」と呼ばれるものの設定も必要となります。
数多くの周辺機器を接続されている方や、消費電力数の大きい機器を接続されているなどの場合には、電源ケーブルの優先順位も考えなければならない場合もあります。
具体的には、電源ボックスに一番近い割り当てが、消費電力数の高い、ハードディスクに割り当てられるのがもっとも最適なようです。ただし、環境により異なります。
筆者の愛用のデスクトップコンピュータでは、実際に、電源ケーブルの接続を変更しただけで、OSが起動しないという事例を確認しております。これは、何かもう少しほかの部分に原因があるような気もしますが、電源ケーブルの接続を変更しただけで、OSが通常の起動をしたため、意外に盲点となる可能性が高いですね。
top
IDEケーブルの接続方法について
ハードディスクを増設する際には、概ね下記のような接続形態があります。まず、IDEインターフェイスが2つ設けられている場合には、4つのデバイスを接続することができるようになっています。デバイスとして検出される順序のとおり書き出すと
「プライマリ・マスター」
「プライマリ・スレーブ」
「セカンダリ・マスター」
「セカンダリ・スレーブ」
となります。
「プライマリ」とは、1番目のIDEインターフェイスで、「セカンダリ」は、2番目のIDEインターフェイスということになります。
一般的な接続例としては、
「プライマリ・マスター」ハードディスク1台目
「プライマリ・スレーブ」CD-ROMや、CD-R/RWドライブ
「セカンダリ・マスター」ハードディスク2台目
「セカンダリ・スレーブ」その他
ハードディスクおよび各種ドライブ本体は、それぞれジャンパーピンの設定を接続したインターフェイスにあわせて設定を行います。最近では、ケーブルセレクト機能という便利な機能を持ったIDEケーブルもあります。その場合には、ケーブルセレクト機能を利用するとこの組み合わせにそれほど、とらわれずに設定を行うことができます。
ただし、この場合には、ジャンパーピンも「ケーブルセレクト」の設定を行っておくのが、普通
です。また、ケーブルセレクト機能を利用した接続がうまくいかない場合には、マスター/スレーブの設定を適宜行うことで、対応してください。
初めてハードディスクの増設を行う場合には、元のハードディスクは、取り外さず、空いているIDEインターフェイスに、増設したいハードディスクを接続し一度、OSが起動できるかどうか、増設したハードディスクを認識できるか、などを確認したほうがよいでしょう。
多くの方が失敗するのは、増設したハードディスクが認識されないとか、OSが起動しないという事例ですが、この手であれば、ジャンパーピンの設定やIDEインターフェイスの接続形態をもう一度確認することからはじめましょう。
top
|